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【2026/04/05 05:45 】 |
モブ×桂(4)
拍手ぽちぽちありがとうございます。

八重さん観てます愉しいです。
桂さんの逃げっぷりもなかなかですが、
先日のは平馬さんと大蔵様の義兄弟おほもに萌えました。
なんか平馬さんと話すとき常にはにかんでる大蔵様なんなの。

あと「会津藩が新式銃の価値をわかってくれないうんこ超うんこ」
なやさぐれ方をしている尚之助が、八重さんに
「あんつぁまもそうでした」言われて急におとなしくなるのなんなの。
本当に義兄弟っていやらしいですねもっとやってください。

豚一公はなかなか小生意気でおよろしいですね。
幕閣と新選組の板挟みになる容保様かわいそうです。
中間管理職つらいよね。
ほんで池田屋ではやっぱり沖田くんの喀血シーンは必要なのねw
一過性の貧血やら暑気中りじゃドラマになんないのねww

OPの春仕様はちょっと気が早くね?と思ってたんですが、
先日所用で会津若松の実家へ帰ったという上司が
「梅が咲いてた(蒼白)」と言ってました。
そうか……会津はそろそろ春なのか……。
「久しぶりに地面を見た」とも言っていたので雪も融けたのですね。
そうでしゅか……内地は春でしゅか……。


蝦夷地は冬でもわたしのお脳は春爛漫です。
今日も桂さんを鋭意ひん剥きます。


以下、よみものでございます。
 脱力した大崎の体の重みが、小五郎の肉のうすい胸を圧している。彼が頭をもたせている肩のあたりからこまかな振動がつたわって、ああ彼は泣いているのだと思った。
 まだ、繋がっている。
 そこを穿たれて吐精したのははじめてだった。完全には萎えていない彼の熱さが、小五郎の体を疼かせる。
 最後の瞬間、河原の景色も、男たちの声も消えた。光の迸るような強烈な快感にのまれて、四肢をひきつらせ、声をあげた。
 はじめて感じる悦楽だった。
 そうして知ったよろこびは深いものであったが、そのよろこびのために、そんなものよりもずっと愛おしい、尊いものをうしなったのだと思った。現に大崎はこうして泣いている。吐精後の倦怠のなかで小五郎は、甘い幸福のかたみに、骨のきしむようなかなしみをあじわっていた。
 おもえば大崎は、絶頂に達したそのときも、こうして泣いていたのではなかったか。たとえいっときでも快楽に完全に身をまかせた小五郎とはちがって。彼は最初から最後まで、かなしみのなかで小五郎と繋がったのではなかったか。
大崎の涙が、小五郎の肩を濡らす。彼が気の毒で、彼に申し訳なくてならなかった。
ふるえている背中を撫でてみたかったが、もうふれてはいけない気がして、小五郎はそっと地面の草をにぎった。
「おい」
男たちの声がする。どこかおそるおそるといった、ためらいめいた感情が見えかくれする。小五郎と大崎が互いに精を散らし、それからこうして息をととのえていた時間がどれくらいのものかよくわからないが、そういえばそのあいだ、かれらは静かだった気がする。いささか腰のひけたようすで近寄ってくるかれらの動作には、今までつい呆気にとられて見つめていたという感じがにおっていた。
そのせいかどうか、かれらはことさら傲岸に胸をそらせて、小五郎と大崎のまわりをとりかこんだ。
「おい、お前、気をやったな」
いちばん体の大きな男が、小五郎の顔の前にしゃがみこんだ。
「俺がいろいろに気をつかってやっても駄目だったくせに、大崎がそんなにいいか」
それとも見られてするのがいいのか。淫乱め。
男は小五郎をいたぶっているつもりらしいが、そうして言いつのることで、かえって彼自身がひどく上せていくように見えた。
「おい、もう離れろ」
男が大崎に手をかける。ほかの男たちもそれにしたがい、ぐいと肩をひかれた大崎の体がすこし離れた。
「や……――!」
とっさに、乾いてひりついていた喉奥から声がほとばしり出た。
「嫌です……!」
大崎のぬくもりがうしなわれてゆく。半身のようになじんでいた繋がりを無理に解かれる。
あわてて起きあがり、離れていく大崎に伸ばそうとした手を押さえられる。
「今に大崎より立派なのをくれてやる。お前が完全に女になった記念に、腹がやぶれるまで犯してやる」
「やめ……!」
腹がやぶれるとかどうとかよりも、大崎との媾交の余韻を――美しく慕わしいすべてのものを喪うかわりに手に入れたそれさえ奪われることが、そのうえその痕を掻き消すように犯されることが嫌だった。
「やめてください、後生ですから離してください」
叫んだ頬を激しく打たれた。群がる男たちを振りはらってそれを止めようとした大崎も、頭を張られて地面に倒れた。その拍子に彼が自分の中から抜けてゆく。自分を盈たしていた熱が去り、喪失感に小五郎は泣いた。
「いいから黙って尻を差し出せ、この淫売が」
「よせ――!」
立ち上がろうとした大崎がもう一度ぶたれる。彼も小五郎も、男たちから殴られるのははじめてだった。かれらはひどく苛立ったように、二人の体を遠慮会釈なく打擲した。
両足首を捻じ切らんばかりの力でつかまれ、大きく左右にひらかれる。大崎をうしなったそこから、彼の熱の残滓がこぼれ落ちる。
悲しかった。
男たちに犯されたいままでのいつよりもやるせなくて、胸が凍りそうだった。
昂ぶって赤黒く腫れあがった男の凶器が押し入ってきたとき、小五郎は喉が裂けるかとおもわれるほどの声で、拒絶と断腸の喚びをあげていた。
 
「おい、どうした。いけよ」
小五郎の中をかきまわし、激しく突き上げながら、男が何度目かの焦りの声を洩らす。
「こんなに締めてきやがるくせに、どうしていかないんだお前は」
男はすでに肩で息をしている。何度か中で精を洩らしているのを、小五郎は気づいている。
やわらかな粘膜を擦られるたびに、たしかに体はふるえる。突き上げられると、びりりと脳が痺れる。しかしそれらの刺戟はみな厭わしく苦痛で、ことに大崎との交わりを知ってしまったあとでは、退屈なものでしかなかった。
(早く終われ)
長く犯されていればいるほど、大崎にあたえられた感覚が――わけあったぬくもりが遠ざかる気がする。大崎の痕跡が完全に消え去らないうちに、この下卑た闖入者の手から逃れたかった。
(いやだ。もう傷つけられるのはいやだ――)
小五郎がかたく目をとじた次の瞬間、
「――あ……?」
ずるり、と粘膜をひきだされるような感覚をのこして、男が中から出ていった。
「貴様、馬鹿にしおって」
「……っ」
低い声で呻くと、男は小五郎に唾を吐きかけた。それから、
「おい、行こう」
順番を待っていたほかの男たちを促して立ち上がった。
「え……おい、」
かれらは不服そうな声をあげたが、
「今日はもうやめだ。泣くばかりでつまらん」
短く言った男の、闇く燃えるような険のあるようすに、気をのまれたようにして次々に腰をあげた。
「女を買いに行こう。俺のおごりだ」
袴をつけ、地面に投げ出していた差料をつかむと、小五郎から顔をそむけるようにしてうずくまっていた大崎の額を、鐺(こじり)でしたたか打った。
「大崎さん」
衝撃で横ざまに倒れた体に、小五郎はあわてて駆けよった。去っていく男たちのうちの一人、二人が振り返ったが、先頭を行く男が肩をいからせて何もいわないので、それに強いられるようにしてまたそそくさと前を向いた。
「大崎さん」
彼の白い額から、血が流れている。小五郎は指先でそれをぬぐうと、草の葉をむしって傷口へあてた。
大崎は、顔をあげようとしなかった。抱き合っているときは全身があれほど熱かったのに、すでにそれが嘘のようにつめたく冷えた額に手をあてながら、小五郎は、彼のうつむいた頬を新たな涙が流れるのに気がついていた。
傷は、さほどのものではない。そっと手を離すと、腕の陰からあらわになる顔をかくすように、大崎はいよいよ深く項垂れた。その肩がふるえている。
「痛みますか」
小五郎の問いかけに彼は首を振り、
「私は……」
ようやっと聞き取れるほどの声で、絞りだすように言った。
「情けない。私は……」
あとは声にならなかった。
否、彼がたとえ何もいわなかったとしても。
小五郎は察するべきであっただろう。彼がどれほど今日のことを厭い、愧じているか。小五郎があの男に犯されているあいだ、もう用済みのはずの彼が、それでも一人だけ逃げ帰ることをせずに、その場にふみとどまった苦衷はどれほどのものであったか。
かれらに陵辱されて、己のなにごとかを喪ったのは小五郎だけではない。むしろ小五郎よりも年たけて才識ゆたかな大崎のほうが、その感情の襞は複雑に入り組んで、それだけに受けた傷も深かったであろう。
男たちに体を暴かれ、子供であることを無理やりに奪われたとはいえ、そういう考えの至らなさが、小五郎はやはり、年相応の子供であった。
額に血を滲ませた大崎が、なにかに凍えるように肩をふるわせて泣いていて、それを目にしたときの小五郎はただ、その血と涙を拭ってやりたいと思ったのだった。
――否、そう思っただけだと、自分にいいわけしたのだ。
彼の頬に、吸いよせられるようにして手をあてた。
それから額の傷に、唇を押しあてた。血のにおいと濡れた感触に一瞬陶然となり、唇をすぼめて血を吸った。彼の体がびくりと顫える。裸の胸が寒くないように腕を回し、背をさすりながら彼をひきよせる。
と、
「やめてくれ――――!」
悲痛な叫びとともに、小五郎は地面にころがっていた。彼に突きとばされたのだとすぐにわかったが、その意味がとっさにはのみこめず、茫然として彼を見あげた。
「すまない――」
と言ったのは、大崎の優しさであっただろうか。それよりもむしろ彼のいだいた畏れのためではなかったかと、小五郎はあとになって思った。さっき抱きあったときとはまるで反対に、彼は蒼い顔をして、しかもそれを石のようにこわばらせて慄えていた。
「大崎さん……?」
なにかまだ彼の豹変の理由がわからずに、首をかしげてにじり寄った小五郎から、大崎は飛びすさって逃れた。その手にはすでに、彼の衣服が抱えられている。
「すまない」
と彼はもう一度言った。そのときの彼の表情は、何といえばいちばんちかいのだろうか。傷ついた顔というのが、あるいはそれらしいかもしれなかった。彼はひどくうちひしがれて、何より小五郎をおそれているように見えた。
「――――……」
さしだしかけた手をどうしてよいかわからずに、小五郎が目を見ひらいて黙っていると、彼はその視線をうけていることすら苦しいようすで、長着をじかに羽織ると、前もろくに合わせずに駆け去った。
小五郎は小さくなる彼の背中と、伸ばしたままの自分の手をかわるがわる見つめた。彼が見えなくなると、握ったり、ひらいたりしながら、じっと自分の掌を眺めた。そうしているうちに、だんだんと大崎の狼狽と悲嘆の理由がのみこめてくるような気がした。
(ああ、私は――)
これでもう二度と、大崎と言葉をかわすこともなければ、目さえあわせることもないと思った。
そしてそれは多分、男たちのせいではないのだ。
そこまで思いいたったとき、小五郎は両手で顔を覆い、地に伏せ、声をはなって泣いた。
 
天井の染みが、小五郎を嗤う。
「子供とはいえ、お前はよそ様の家のあるじだから」
養父母を亡くして実家に戻ったとき、父がそう言って、この部屋をあてがってくれた。
「武士は質朴を貴ぶものだ。ちっとばかり汚れているのは辛抱せい」
と、父はこの天井を指した。そうはいっても、生まれ育った家のことだから、天井の染みくらい小五郎は知っている。いつかその染みが人の顔に見えて怖いと言ったことを、あるいは父は覚えていて、そんな言葉でからかったのかもしれなかった。
(昔は何に見えたのだったか……)
鬼の顔にでも見えたのだろうか。
鬼にしては面長で、鼻筋のとおったその顔は、どちらかといえば役者絵に似ていた。
(いや――)
あれは。
あれは笑い絵で見る、法悦の表情に似ている。
その顔が小五郎にささやくのだ。
『淫乱――』
と。
(そうとも)
涙をぬぐいながら、小五郎は寝返りを打った。今日もすこしばかり熱がある。外へは出たくなかった。
日の高いうちからこうして布団のなかにいるが、眠る気にはならない。目をとじると瞼の裡に、大崎のあの表情がうかんでしまう。
驚愕と畏れと歎きと――わずかな瞋りをふくんだあの表情。
あの顔を大崎にさせた理由が、今の小五郎にはわかっている。
なるほど大崎はこわかったろう。
夢にも知らなかったであろう淫魔の微笑みというものに、あの瞬間、彼はたしかに遭遇してしまったのだ。
(淫乱だ。私は)
あのときの桂は、男たちに勝ったのだと思っていた。犯されて達しなかった。ただ、大崎とのまぐわいにおいてのみ、自分は本物の快楽をあじわった。そのことをどこか誇らしくすら感じていた。
そうして、その快楽を男たちに咎められ、殴られて血を流す大崎に欲情した。彼の涙に、体の芯が疼いた。
抱いてほしい、と思った。
もう一度大崎に抱かれたかった。彼と繋がったまま、夜を明かし昼をこえ、溶けあってしまいたかった。それはかつて彼によせた透きとおった慕わしさではない。どろりと濁った昏い欲望だった。
だから、大崎は愕いたのだろう。世の中にそういう種類の感情が――感情とよぶことすらなお高尚にすぎる、爛れた衝動のあることを、彼は無論知識としては知っていたろうが、それはあくまで淫婦と痴漢のあいだにおきる異常の事件だとおもっていたにちがいない。草双紙のなかの風流の恋とはちがう。あのときの小五郎には、もはや大崎の才識も人格も映ってはいなかった。ただ、熟れてゆく体を盈たしてくれる雄が欲しかった。そうして大崎に濡れて、溺れたかった。
その思いは小五郎の瞳に、汗の浮いた肌に、蒸れるようににおっていたことだろう。ましてあのとき、大崎の額に接吻した。彼の血に、脳髄が甘く痺れた。あとすこしあのままでいたら、何を口ばしっていたものかわからない。
帰る道みち、ふとむず痒さをおぼえて首筋のあたりをぬぐうと、途中で離れていった男が吐きかけた唾(つばき)がまだそこを濡らしていた。
(こんなものを)
立木の幹にそれをなすりつけながら、ぎりりと音をたてて奥歯を噛みしめた。こんなものをつけたままで、自分は大崎に媚態を示したのだったか。
『淫売』
と、かれらは自分にそう言った。いかにもそうよばれて唾棄せらるべき、不潔な人間になったのだと思った。
「兄さま――」
障子の外に華やいだ声がひびいて、小五郎は追憶――わずか二、三日前のことではあるが、それはすでに(これほど鮮明でありながら)濃い靄のむこうに蟠っているのだった――からさめた。
「起きていらして?」
「治か」
あわてて涙をぬぐうと、胸の下に枕を抱いて腹這いの格好になった。
「開けますよ」
と声がして、返事もしないうちに障子が開く。いつもの、心やすだてな兄妹のしぐさだった。
治子は縁廊下に、庭を背にして座っている。外は晴れで、黒ぐろとゆたかな桃割の髪が、陽の光をうけてまぶしいほどだった。
「暑くありませんか、この陽気に」
こう閉てきっていては、と、小五郎の部屋の換気を気づかう治子は、初夏の気をそのちいさな体いっぱいにあびて、なるほど暑そうであった。
「私は水菓子のほうがいいと思ったの。みかんが、いい頃でしょう。でも母上が暑くても冷やしてはいけないって」
障子のかげからさしだした膳には、粥が盛りつけられていた。やさしい母のにおいが鼻腔をくすぐり、今の今まで食欲もわすれていた小五郎は、胸の奥が切なく締めつけられるのをおぼえた。
「もう時分どきかな」
「そう……すこし過ぎたかしら」
「寝てばかりいるとわからなくなってしまうな」
どれ、と布団の上におきあがると、治子は膝をすすめてきて、おかげんは、と尋ねた。
「お上がりになる?」
布団の横へ膳を据え、椀の蓋をとる。
「食べさせてあげましょうか」
「ばかなことをいうんじゃないよ」
小五郎は苦笑して、治子の手から椀をとりあげた。この末っ子のくせに妙にこまっしゃくれたところのある妹は、ときどき小さな母親のような顔をして、自分の世話を焼きたがる。
「いいからお前はもう下がって、人形とでも遊んでいなさい」
「まあ、ずいぶんだわ。治はもうお人形でなんか遊びません」
「母上の御召の余りを着せて花嫁御寮を作るんだとか言ってたじゃないか」
「いつのお話?」
桃色の頬をぷうっと膨らませて、治子は座を立った。そのしぐさのいちいちが、すっきりと澄んでみずみずしい。
(ああ、お前は……)
これまで何と感じたこともない治子の表情や挙措が、どれも泣きたいほど可憐におもえた。
(お前は、どうか、)
そう祈ったら、つい呼びとめてしまっていた。
「治」
と、その可憐さをひきとめるように。
「はい」
治子が振り返る。
「お前が嫁ぐときは、優しい人のところへ行くといい」
優しく強い、立派な人のところへ。
日ざしのなかにいる妹へ、その明るい美しさに、精いっぱいの祝福をこめて呼びかけた。
たぶん自分は、真剣な顔をしていたのだろう。
治子は一瞬きょとんとしていたが、やがて、
「へんな兄さま」
と笑いだした。
「昔のお話をなさるかと思えば、こんどはうんと先のお話なんですもの。おかしいわ」
「――ああ、」
小五郎もそのあまり唐突だったのに気がついて、ばつ悪く笑った。
「そうだな」
「そうよ。私がお嫁にだなんて、おかしいわ。ずっとずっと先のことよ」
治子は、これはこれなりに照れているらしく、うつむいて口をとがらせると、
「しっかり召しあがってくださいね」
そう言いのこして、ぱたぱたと部屋を出ていった。その、血の色にかがやく頬、あどけない目のうごき、小五郎は眺めていて、ほとんど息苦しいほどだった。愛らしく結いあげた黒髪の真ん中に、ぽつんと赤く咲いていた鹿子の手絡(てがら)の色を、小五郎は、治子が開け放していった障子のむこうの光に何度も映し見ては、やがて両の拳をにぎり、深くうなだれた。
 
小五郎がふたたび藩校へもどっても、もう男たちは声をかけてはこなかった。
あのときの意趣返しにまたひどく犯されるかと思ったが、かれらはただ目引き袖引きしてこちらを睨んでいるだけで、媾合を強いる度胸はないようだった。
(なるほど、男が不能になるのはああいうときか)
と、べつに知りたくもなかった知恵がひとつ身について、そのぶんだけ小五郎はまた、自分が荒淫の泥のなかへ沈んでいく気がした。
犯されなくなったところで、いまさら嬉しくもない。自分が淫蕩の度をくわえたと思うことも、とりたてて悲しくはない。もうこうなった以上、何がかわるわけでもないのだ。
ただ小五郎が気がかりなのは、大崎のことであった。
あの連中は、小五郎にふれなくなったとはいえ――むしろそれだけに、近頃ではなにか殺気めいた剣呑さを帯びてみえる。大崎がなにかされはすまいかと思ったが、聞くところによれば、彼はずっと休んでいるらしい。それはおそらく、小五郎とまぐわったあの翌日からなのだった。
(来ないほうがいいだろうけれど……)
彼と言葉をかわすことはもちろん、目を見交わすことさえ、すでに小五郎はあきらめていた。だがそういうことはともかく、あまり長く休みつづけるのは、それはそれで、大崎の立場を危うくするだろうと思った。
彼は、まだ家督をつぐ前とはいえ、その才能を藩のおとなたちから嘱目されている。それだけに、実際むつかしい立場ではあるのだ。仮にあの男たちがぐずぐずいうことがなかったとしても、いつかかならず誰かに嫉視せられたであろう。だからその彼が、藩校を休みつづけることで、課業に不熱心だとか、あるいは病弱だとでもいう評判がたっては、大崎とその家のためにははなはだまずいのである。
しかしすでに、大崎は病気だと噂されていた。小五郎もあれから一度も会っていないわけで、それがどこまで真実なのかはわからなかったが、少なくとも彼が愉快に日を暮らしてはいないであろうこと、そうしてそれがあの日の出来事にかかわっていることだけはたしかだろうと思った。
(どうしておいでだろう)
鬱蒼と繁った夏木立の奥の屋敷うちで、ぽつねんとすごしている彼を思う。
それもなるべくあの日のことは忘れて、彼とまぐわう以前、彼の肌を知らなかったころに眺めたのとおなじように、淡彩で彼の姿を思いえがこうとした。が、途中までふわりと透きとおってつかみかけたその姿は、たちまち一点の染みを生じ、そこからどろりとぬめった色を滲ませて、ぬらぬらと濡れた愛慾の肖像に変わる。
(ああ、こんなことすら――)
小五郎の胸は冷たく凍えた。もはや彼の健康を案じることさえ、その感覚をぬきにしてはできない自分になっていた。大崎がおそれるはずだと思った。
 
あの日小五郎が思ったように、あの男たちはやはり、敗けたのだろう。
すくなくともかれらはそう思ったにちがいない。だからこそ、尻尾を巻いて逃げたと思われるのが、よほど業腹だったのだろう。かれらが実際もっとも憎んだのは、大崎なのか、それとも小五郎なのだろうか。ともあれ、一同してあれ以来ずっと復讐のときと、その方途をさぐっていたらしい。
小五郎が床をあげ、通学を再開してから十日ばかりののちに、それはおとずれた。
「桂だな」
家へ帰ろうとする小五郎を、正門の脇で呼びとめた男は、小五郎の知らない男だった。
「すこしお前に尋ねることがある」
と言った顔は上品な温顔で、着ているものからも彼が上士の子であることをにおわせていた。
(どなただったかな)
男についていく間、小五郎は彼の襟に染めぬかれた紋をながめては、そればかり考えていた。迂闊だったといえなくもないが、実際のところ、ひとの言動についてあれこれ忖度できるほどの心の弾力を、そのときすでに小五郎はうしなっていたのである。なにかがおきると、明確な意識のうえでは小五郎は思っていなかったが、しかしまたどこかで、どうなってもかまうものかという思いが、捨鉢とよべるほどの激しさもなく、ただどろりと油がこごるように、胸の底に沈澱していた。
連れていかれたのは、藩校の舎屋群から離れたところにある納屋であった。扉のうちの薄暗く、黴くさい空間に足を踏み入れて、そこに複数の男の気配と、かれらがはなつある卑しさを感じとったとき、
(――――ああ、)
小五郎はたやすくすべてを理解した。
(さもしいことだ)
騙された悔しさよりも、むしろあの連中を憫笑してやりたい思いだった。今目の前にいるのは、かつて小五郎を犯した男たちの知り合いなのだろう。あの連中は小五郎に辱められた恨みを、結局自分たちで晴らす度胸がないのだ。
(気をやらなかったのがそれほどこたえたのか)
ほかにもっと頭を悩ますことがないのだろうかと、小五郎はこの場にのぞんで滑稽なほど醒めた頭で考えていた。かれらは、あれほど激しく自分を陵辱しながら、勝手に恥をうけて、しかもその仕返しにまた陵辱することを思いついたのだ。今度は自分たちの手によってではなく、知り合いをけしかけて。
(よほど毒されているとみえるな)
肉を貪ることに。その慾に。
なにもかもが馬鹿らしかったが、将来ひょっとするとかれらのようになるかもしれない自分を遠く思いえがいて、それだけが小五郎の胸をさびしく突き、今からおこなわれる痴戯への不安をうながした。
 
「なるほど、これは、」
小五郎の尻の肉を指先が食い込むほど強くつかんで、男は歎声をあげた。
「これは上品(じょうぼん)だ。吸いつかれて、たまらぬ」
男の汗が背中に滴り落ちる。激しく穿たれて、納屋の床についた裸の膝が痛かった。が、それを訴えようにも、小五郎の口には別の男の陰茎がねじこまれている。
「深くしてやると締まるぞ」
と、さっきまで小五郎の中にいた男が、小五郎の胸の下から顔をだして言った。
「どれ、」
と、後ろを犯している男が剔るように腰を動かす。
「ん……っ」
「ああ、本当だ」
「んぅ、」
「お前は奥が好きか、ん?」
強く打ちつけられて、男の太腿とぶつかりあう尻肉が、高い音をたてる。
「っふ、ぅ、んん、」
粘膜を擦る男の獣欲が熱い。乱暴に揺さぶられて、それでも小五郎の体は嬲られることに泥み、かすかなよろこびを拾っては、たちまち深い淫楽に育てあげる。犯されるごとに慾望は滾り、やわらかくほぐれた体をさらに蕩かしてゆく。
肉の愉しみというのは、つまるところ一体、何なのだろう。
悦びは悦びにちがいない。けれどそれは、断じて幸福などではなかった。
すでに清童ではなくなった小五郎に、守るべきものなどない。どれほど犯されようとも、深刻な嫌悪はもはやなかった。
ただ、寂しくてたまらなかった。
(大崎さんと、ちがう……)
眩暈がしそうな快楽のなかで、おぼろにかすんだ意識がそんなことを思ってしまう。大崎はあの男たちと、それから自分によってたかって嬲られたようなものなのに、そうしてそのために自分たちは永遠にあの淡く美しい交わりをうしなったのに、そのかなしみを裏切って、小五郎には大崎との媾合を、甘い夢として大切に蔵っておきたい気持がなおものこっていた。そうしてときどき記憶の小箱からとりだしては、飴をねぶるようにそれを味わい、懐かしむ。それはひどくあさましく、大崎を傷つけることだと思うのに、体で彼をもとめることを知ってしまったあとは、あの夜の全身を灼きつくすようなよろこびが、どうしても忘れられなかった。
男たちがかわるがわる、小五郎の紅く熟れはじめた肉を貪る。かれらはあるいは、大崎よりも巧みなのかもしれない。それでも小五郎は、大崎のあのぎこちなさをこそ欲していた。繋がってなおもためらう手が、悲しく揺れる瞳が恋しかった。そうしてその思い出を男たちの暴虐にかき消されてゆくことが苦しかった。何よりも、そんなかたちでしか大崎を慕うことのできなくなった自分の変化が、胸がつぶれそうなほどやるせなかった。

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【2013/03/16 19:40 】 | よみもの
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