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【2026/04/05 05:57 】 |
井上×木戸 木戸×井上
……タイトルからして最低ぶりがよく表れていますね。
誕生日何にも関係ない(そもそも過ぎたし)うえに
圧巻のやっつけクオリティ。道民雑誌クオリティ。
わかる方がいらしたらひっそり笑ってください。

とりあえず今年の6.26は妄想して楽しみましたよと、
そういうくだらない日常の名残です。
うん、楽しかったんです。26日だというそれだけで。
増税クルー!とか休眠口座の通帳しまった場所がわからないとか色々忘れてね!

全然関係ないですが、前回「夏はいつくるんだよ」と言っていたその夏が
どうにかこうにか来そうです。深夜にストーブいらないよヒャッハー!


以下、どうにもろくでもないよみものでございます。
木戸さんが非常にどうしようもない人ですごめんなさい。


『敗者より愛をこめて』
 開け放った窓の下に、夜も青々と映る萱の葉、その葉を噛んで行く墨水の流れの音が、火照った体に心地よかった。
 井上は布団の上に片膝立ちになり、枕元の水差しをつかむと、直に口をつけてそれを仰いだ。飲み干してしまうほどに傾けたとき、ぺちりと膝を叩かれた。
 隣に横たわったままの木戸が、眼もとだけで気だるげに微笑っている。足元で丸められている掛布のかわりに引っかけた襦袢の白さが、却ってへんに生々しく見えた。木戸は黙ったまま、目顔で水差しを示す。
 井上は心得て、もう一度大きく水差しをあおると、臥ている木戸の両肩に手をつき、唇をあわせた。うすくひらいた木戸の口へ自分が今さっき含んだ水を流し込んでやると、彼の白い喉が上下して、それを嚥みくだした。
 唇を離すと、木戸が小さく溜息をついた。わずかに零れた滴を舐めとってやり、彼の胸のあたりに手をまわして、井上はふたたびその横に寝転んだ。
 「さすがに疲れたなあ」
 鎖骨の上の薄い皮膚を味わいながらつぶやくと、
 「あたりまえだ」
 木戸の爪が井上の手の甲をかるく掻いた。
 「だからいい加減なところでよしておけと言ったんだ。俺だって疲れた」
 「そう言われましてもね、」
 男ですんでね、と肩をすくめてみせる。
 もう若くはない。仕事も多い。無理が体に祟るのはわかっているが、木戸と差し向かいで会って、肌を許されて、それで「いい加減なところでよしておけ」るものではなかった。まして今夜は、舟宿の二階という場所も場所である。
墨堤の夜の風情を、木戸は愛した。
上機嫌の彼は井上の愛撫にもやわらかくこたえ、素直に体をひらいた。人目を憚ることもない場所で、木戸の見せる痴態は思わず何度も生唾を飲み込んだほど、井上の官能をふるわせるものがあった。
川面を時折、夜船が滑っていった。その櫓のきしむ音に木戸のむせび泣く声がかさなって、あまりの妙音に鳥肌が立った、あのときの感覚を思い出すだけで、疲れきった体に熱がよみがえる。
「たまらねえんだもん、あんた」
木戸の胸に顔をうずめて、井上は深く溜息をついた。
木戸の体は、それが天性のものなのか、はたまた教え込まれたものなのか、ひどく敏感に、慾深くできていた。わずかな刺戟にも、おどろくほど反応する。その表情、仕草のすべてが、井上の情火を煽りたてた。
(まずこれほどの体はほかにない)
抱きながらいつも、ほとんど茫然とするような思いをもった。
木戸の胸にまだ乾かない汗を吸いながら、それを告げてやると、
「そのことなんだけどな」
天気の話でもするような声音が返ってきた。
 
「そのことさ」
と、体を横向きに変え、井上と向かい合うかたちで木戸は言う。肌の上を戯れていた井上の手は、長い指にからめとられていた。
「みんな、そう言うんだけどな」
淡く上気した頬に、ほつれた髪の影を宿して微笑む木戸は、ひどく美しかった。
「何が」
「さっきお前が言ったようなことを、いつも言われるんだ。誰と寝たときでも」
「そりゃ……」
大抵の男は同じことを思うだろう。それにしても、
「そんなの俺に聞かせてどうするんです」
井上は顔を寄せ、木戸の首筋に歯を立てた。木戸を初めて抱いたとき、彼はすでにずいぶんと慣れた体をしていた。おまけに自分とこうなってからも、よそでいろいろ、あるらしい。木戸の情人のひとりではあっても、彼をよく拘束しうる何の理由も資格ももたない井上は、それを咎めだてしたことはなかったが、かといってこうもあっけらかんと言ってのけられて、面白い話でもない。
だから恨み言のかわりに、その肌を苛んでやる。すると彼は甘い吐息を洩らしながら、
「まあ、聞け」
くしゃりと井上の髪を掻いた。
「そういうわりに、その誰に聞いても、男は俺しか知らないというんだな」
「はあ」
つまり、自分と同じか。井上は木戸に見えない角度で苦く笑った。
(どいつもこいつも)
一体何人いるのか、どこの誰なのかもほとんど知らない彼等に呆れる。が、それ以上に、同病相憐れむというのか、なにかうら寂しい、気の毒な感じをおぼえた。
(おとなしく女だけ抱いてりゃいいんだよ)
よりによって質のわるいのにひっかかりやがって。笑い出したいような気がして、それをおさえるために、井上はあちこちと唇を移動させ、痕がつくほど強く吸った。
「つまり、そうだとすると、な」
木戸の指が井上の髪に深く絡む。湿った息の合間に、彼は妙に真面目に、しかし楽しげに言った。
「俺が感じやすいのか、男一般が感じやすいのか、わからんじゃないか」
「はあ?」
思わず唇をはなして彼の顔を覗きこむ。木戸はけろりとした顔で、うすく笑っていた。
「お前、最初のときは今まで男とはなかったと言ってたが、その後どうだ」
「あ、あるわけないだろ……!」
「な? だから結局お前のいうことだって、いい加減なものさ」
「……そんなに自分が好き者だと認めたくない、と」
「認めるも認めないも、わからないと言ってるんだ」
つまり、と木戸は髪を弄んでいた手で井上の頭をつかみ、正面から目をあわせてきた。
「俺もお前も譲らない以上は、こうして話していても仕方ない」
「別に俺ははなっから話したくなかったんですが」
「こういうのは実地にたしかめてみるのが一番だと思わないか」
「は?」
「お前、」
木戸の左右の掌が、井上の頬を挟む。
「ちょっと俺に抱かれてみろ」
木戸の両手のあいだで潰れた頬から、潰れた声で、
「あんたに…………」
と井上はぼんやり木戸の言葉を反芻した。それから一瞬の間をおいて、彼は臥(ね)たまま勢いよく布団を蹴り、三尺も跳びさがっていた。
「器用だなあ」
木戸が目をまるくする。
「き、器用とか不器用とかどうでもい、いい」
「膝、擦らなかったか」
「知らら、知らな、」
「畳の上は痛いから俺はいやだな。ほら、戻ってこい」
「戻ったらあんた、俺に何、何す、」
歯の根が噛み合わなかった。木戸は慈母のように微笑んで、ゆったりと手招きをしている。その眺めは決してわるくない。木戸に招かれるのはいい。彼と体を寄せあうのはいい。布団はやわらかい。だが木戸は、自分に何をしろと言ったのか――――
「い、嫌だ、」
起きあがろうとするが、足は虚しく空を蹴った。
「しょうがないやつだな」
木戸がむくりと身を起こして、こちらへやってくる。
「まあ、お前が畳が好きならそれでもいいよ」
「好きじゃねえよ!」
井上の目の前に腰を下ろした襦袢姿の木戸が、ゆっくりと覆いかぶさってくる。
「初めてか?」
「あたりまえじゃねえか!」
「安心しろ。俺は巧いぞ」
「あ、あんた、男を抱いたこと……、」
「喜べ。お前が初めてだ」
「喜ばしくない!」
「最初のとき、俺がはじめてじゃないのを気にしてたじゃないか。今度は正真正銘の初物だぞ。よかったな」
「そんな初物なんか……とにかくちょっとどけよ、後生だからどいてください」
両腕を突っ張り、木戸の体を押しのけようとするが、ぴくりとも動かない。もとより膂力は彼が上だった。まったく抵抗のきかない恐怖というものを、井上はこのとき初めて知った。
(生娘が手籠めにされるのはこんな気分か……)
今度水揚げを引き受けたときは優しくしよう。心からそう思った。もっともこの状況では、その今度とやらがくるかどうかもおぼつかないが。
「木戸さん、本当に……」
脇の下をかいくぐろうとするが、すぐに押さえこまれる。
「逃げる気なのか、その格好で」
くすっと声をたてて、木戸が笑った。昔英国で見た戯画の、天魔の微笑によく似ていた。
「ここは深川だぞ。夜も酔客がそぞろ歩いてる。その中を裸で逃げるというならお前、」
井上の耳に、木戸の唇がふれる。低い声で彼はささやいた。
「後ろからお前の官姓名を大声で怒鳴り上げてやる」
「ひ、ひとでなし……!」
不覚にもうわずった声に、木戸の顔がますます綻んだのが見えた。
「ちょっと、頼むから待……」
「ここまできて男に『待て』はきかないと、俺に言ったのはお前だぞ」
「そこを枉げて……!」
力のかぎり暴れようとして、しかしどうにもならない。振り上げた拳は手もなくつかまれ、ふたつまとめて頭の上で押さえこまれた。
(さすが練兵館の桂……)
泣き出したい思いで、それでも井上はそこに感心してやった。
(とすれば、)
こんなときに思い出すのは、自分に組み敷かれているときの木戸の姿だった。ときに彼はいやだといい、身をよじって抗い、それでも結局は、自分の強制の下に屈した。
――――ように見えた。
(ありゃみんな嘘じゃねえか)
木戸が本気になれば自分など、こうして他愛もなく押さえつけられるのだ。いやだのよせのと言っていたあれは、彼自身の淫蕩さを匿しておきたいがための、つまりは彼のための言い訳ではないか。
(阿呆臭ぇ。今度いやだって言っても縛り上げて犯してやる)
どうせ嫌じゃないんだからな。そう心の中で吐き棄てるだけが、もはや井上にゆるされた唯一の抵抗だった。木戸の体が重くのしかかってくる。
「あんた、なんで……」
「うん?」
やさしく問い返されて、井上はあわてて顔をそむけた。木戸を抱くときは肌を晒すことはもちろん、顔の前に陰茎を突きつけることすら平気なのに、今こうして触れあいそうな近さに顔を近づけているだけのことが、どうしてこんなにも気羞ずかしいのだろう。
「どうした?」
もう一度尋ねられて、思わず悲鳴のような声が洩れた。
「なんでおっ勃ててるんだよ!」
下腹のあたりに、木戸の硬く張りつめたそこが当たっている。恐怖したというよりもむしろ、木戸の頭をうたがった。
「いや……それがな……」
木戸もややばつがわるそうに首をかしげている。が、その表情は井上に較べればずいぶんと愉しげで、すずしい余裕があった。
「俺も、顔に紙袋でもかぶせておけばなんとかできるかな、と、まあそのぐらいに考えていたんだがな、」
「な、何だと」
「案外お前、可愛いな」
「な……っ!?」
駄目だ。
この人はもういよいよ駄目だ。どうかしている。助平がすぎて、とうとうどうにかなったんだろう。
巧いから安心しろ、と木戸は言った。たぶんそれは本当だろう。本当だと信じるからこそ、安心どころの話ではない。木戸の磨きぬかれているにちがいない手管を思って、井上は総毛立った。手酷く犯されるならまだいいのだ。それをこの男は、
「――十分でいかせてやる」
ろくでもないことをいう。木戸のいうとおりの抱かれかたをしてしまえば、そのあと自分は一体どうなるのか。後家転ばし、おしろい喰いと呼ばれたこの俺は――。
(俊輔――)
ふと、悪友の顔が瞼の裡にうかんだ。さよなら。俺の分まで女を抱けよ。あとお前は女は尻だと言ったが、尻じゃない脚だ。それも脛(はぎ)から下だ。よく憶えておけこの助平。
 
「なにも泣くことはないだろう」
井上が横向きに膝を抱え、背をまるめて臥している後ろで、木戸はのんびりと寝煙草を吹かしていた。そういう仕草も、はじめて見るものだった。
「泣いてません」
むっつりとむくれて答えたが、声が鼻にかかっているのは隠しようもない。
「よかっただろう?」
「ほかに言うことはないんですか」
呻くようにそう言ってやると、
「悪かったよ」
と木戸は溜息をついた。
「十分でいかせる約束だったのに、十五分かかったのは俺の未熟だ」
「な、何言って、」
「まあでもあれだぞ、俺のいう通りに力を抜いていればもっと早くいけたんだ。あんまり緊張しすぎるから」
「もう黙ってもらえませんか」
喉を滑り出た声は、いよいよ本当に涙もよいだった。
何もかも悪い夢だったと思いたい。木戸にされたことも、それに自分がどう反応したかも――。
「俺、もう……なんで……」
「そう悄気るなよ」
木戸の声は笑っている。
「指なんてしたうちに入らないだろ」
「あ、あんたなんか……!」
「俺なんか?」
「………………」
体をさかしまに駆け上がった血が、結局行き場を得ずに、冷えて肚のほうへさがってくる。井上はもうものをいう気も失せて、散らばっていた衣服――それは数刻前に木戸を抱くために自分で脱いだのだが――を手の届くかぎりかきあつめて丸め、顔に押し当てた。
(しにたい)
いつか旧藩の御前会議で、上役どもの愚にもつかない退嬰論に失望し、悲憤のあまり別室で腹を屠って果てようとしたことがあった。今おもえば、あれはなんと甘美な死への希求だったろう。あのときの自分には憂国の至情のみあって、天地にむかって愧ずべき何事ももってはいなかったのだから。
(死んでやる、と、死にたい、とはちがうんだなあ)
日のしずんでゆく孤島に一人とりのこされたように、そんなことをぼんやりと思った。
「聞多、」
そういう自分とはまるで他人の顔をして(実際他人なのだが)、木戸は妙にさわやかに話しかけてくる。
なあ、と、かたく握りしめた井上の手に、後ろから木戸の手が添えられた。
「すまなかった。もうお前のいやがることはしないから。ただ――」
ただ、たしかめてみたかった。井上の手をさすりながら、木戸はそう言った。
「お前がいつも何を考えながら俺を抱くのか、な」
(きたねえな――)
と井上は思った。あやうくこちらがほだされそうになる言葉を、巧みに木戸は択んでいる。聞きようによってはなにほどかの感傷を感じないでもないが、どう考えてみてもそれは今思いついた理屈だろう。
(さっきのこの人の顔ときたら)
井上に無体をはたらいた木戸は、生き生きとひどく楽しそうだった。なにが「何を考えながら抱くのか知りたい」だ。単にあべこべに抱いてみたら悦(い)いのかどうか、興味本位で試したかっただけだろう。
「それで」
ふんと鼻を鳴らして、井上は尋ねた。
「たしかめてみて、わかったんですか」
「そうだな」
木戸はもう一度、同じ相槌をうった。それから、
「お前には教えないことにしよう」
「何だってんですよ」
「そのかわり、いいことを教えておいてやる」
いかにもとっておきの朗報だといわんばかり声をはずませて、歌うように木戸は言った。
「俺は、お前には、抱かれるほうが好きだよ」
顔を服にうずめていたのは正解だった。もし何も遮るものがなければ、盛大な舌打ちの音が、木戸の耳に届いていただろう。
(畜生……)
丸めた服の皺の中で唇を噛んだ。
「もう寝る」
「そうか」
はずんだままの声で木戸が答える。ぶんむくれている井上に、ばさりと後ろから布団が被せられた。
「かけておけ。風邪を引くぞ」
「…………」
礼もいわず、井上はもそもそと布団の端を鼻の下まで引いた。
(明日起きたらめちゃくちゃに犯してやろう)
それで、今日あったことは何もかも忘れてしまおう。
念仏のように胸のうちに繰りかえして、井上はかたく目をとじた。
(やっぱり女だけにしておくんだった)
お前が正しかったよ、俊輔。
今夜もどこかの女の柔肉を揉みしだきながら眠っているにちがいないその男の、いかにも好色そうな笑顔を思いうかべて、
(せめてお前だけは道を誤ってくれるなよ)
こんな目に遭ってさえ、背中に感じる木戸の温もりを心地よいと思う。その業の深さにひきかえて、伊藤のあの、女でありさえすればという無節操さの、ひらきなおった潔さはどうだろう。あれはあれでもしかすると、一種の聖人なのかもしれない。多分そうだろう。そうにちがいない。
(だから、お前だけは)
いっそ敬虔といっていいほどの清らかさで、井上は伊藤の漁色の前途を祝した。

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【2012/06/27 01:05 】 | よみもの
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